指導・研修体制について

指導・研修体制について

指導・研修体制について、当院の特色を挙げながら紹介します。

精神科救急医療のニーズに対応

 2023年現在、札幌市の精神科救急医療システムの稼働の柱となっているのが精神科救急病棟を持つ4つの民間精神科病院であり、当院はその1つである。人口約197万人の札幌市とその近郊の地域を加えそれを2分割し、圏域ごとにそれぞれ2箇所の精神科救急の病院が配置されている。当院は365日24時間の精神科救急医療を含めた地域のニーズに対し中核的な役割を果たすべく、必要時には圏域外からの依頼も含め迅速な対応を行っている。措置症例や緊急措置症例、困難事例も積極的に受け入れを行っている。これらは経験豊富な上級医とペアで担当をする。

 2023年現在、病床数は315床(精神科救急入院病床46床/精神療養病床109床/認知症治療病床50床/特殊疾患病床60床/内科療養病床50床)であり、精神科救急病棟、認知症治療病棟を中心に急性期の入院精神科医療全般を経験することができる。また急性期の治療介入後の精神科リハビリテーション、退院支援や社会復帰支援を多職種と連携しながら進める方法を実践的に学ぶ。患者層は10代青年期から老年期までと幅広く、経験可能な症例は統合失調症、気分障害、ストレス関連障害、児童・思春期精神障害、物質依存、認知症、発達障害など多岐に渡る。心神喪失者等医療観察法における指定通院医療機関であり、また鑑定入院の受け入れも行っており、司法精神医療の臨床経験も可能である。

近年強化している取り組み

① 身体拘束最小化

 2022年度からは、精神科救急症例の治療介入時も含め身体拘束を最小化する取り組みを強化している。身体拘束ありきの治療介入は、それ自体が患者にとっての精神科治療経過に様々な側面で不利益をもたらす。一方で身体拘束を最小化するためには治療者側のチームとしてのスキルが必要であり、日本精神科救急学会指導医資格、CVPPPトレーナー資格、認知症認定看護師資格などを保有するスタッフが連携しながら病棟全体で身体拘束最小化を実践している。2022年度からの取り組み強化以降、救急病棟における平均拘束日数及び拘束率は大幅に減少している。

 また身体拘束は、深部静脈血栓塞栓症・肺血栓塞栓症といった時に致死的な内科的リスクをも伴うものである。当院では総合病院勤務の精神科医師や内科医師との協議の上、やむなく身体拘束を行う際にも血栓塞栓症リスクを回避すべく、精神科単科病院でも運用可能なマニュアルを作成している。札幌徳洲会病院の臨床検査室の協力により、当院の若手精神科医師が下肢エコーの技術を習得しており、エコーによる静脈血栓の評価を行い、適応があれば抗凝固療法を行う。精神科治療において必要な身体管理が行えるようになることも研修目標の一つである。

② クロザピン治療

 治療抵抗性統合失調症の治療薬であるクロザピンの国内での普及率は、都道府県や医療圏ごとの格差が大きい。各都道府県別の人口10万人あたりのCPMS(Clozaril Patient Monitoring Service)登録患者数を見ると、人口比で最も多いところと少ないところとでは約20倍の差があり、北海道は5.2人と全国平均の6.3人を下回っている(2019年時点)。

 当院は2012年にCPMSに登録後、院内での使用経験を積み、クロザピン治療に熟練した医師が複数在職している。やむなく入院が長期化している統合失調症患者や、罹病期間の短い患者も対象にしてこれまで以上に積極的にクロザピン治療を導入していく。

③ mECT(修正型電気けいれん療法)

 mECT に際して必要な全身管理・麻酔及び筋弛緩薬の使用方法について、札幌徳洲会病院の麻酔科医師の指導により当院精神科医師が習得している。それにより、近年は mECT の実施目的で他院に転院依頼をするケースは減少しており、院内での mECT 実施件数が増加している。mECT を要するケースというのは精神科的緊急性が高い状態であるので、全身状態のリスク評価をした上で、可能な限り速やかに当院内で実施している。

法人内で精神保健福祉、介護・福祉事業を運営

 急性期に迅速に介入するのみならず、その後の精神科リハビリテーションも重視している。2021年9月には院内デイケアを『生活サポートセンター』としてより患者の現実的なニーズに寄り添い、機能分化させている。その中には就労移行を見据えた就労準備相談窓口、休職者を対象とした復職支援、高齢者を対象とした医療保険適応の通所リハビリテーションなどが含まれる。また入院治療後の退院支援や社会復帰支援を継ぎ目なく進めることを可能にすべく、就労継続支援事業所、訪問看護、グループホームを法人内でも管理運営している。これは大学病院や総合病院には無い、単科精神科病院ならではの当院の特徴である。

 当院は認知症治療においても地域移行を見据えた包括的な関わりに努めている。一昔前は当院でも認知症患者は長期入院者が多く、転倒や転落予防のリスク管理を重視した身体拘束もしばしば行われていた。現在は改革を経て、認知症治療病棟で身体拘束をすることはほぼなくなり、平均在院日数も大幅に減っている。1993年に併設した老人保健施設に続き、2012年よりサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームや認知症グループホームを順次開設し、法人内で介護・福祉事業を運営し、退院後のシームレスなサービスの提供と質の担保、密な連携による迅速な対応が可能となっている。これら施設への訪問診療も当院医師の業務の1つである。また認知症外来診療においては、認知症専門医・診療医の資格を取得した医師がメインとなり2015年より認知症専門外来を開設している。希望があればそれらの資格取得もサポートされる。

他院との協力連携、教育体制

 当院は、札幌北辰病院・札幌徳洲会病院・札幌厚生病院の協力病院であり2005年度から年間10数名の初期研修医を、さらに2017年度からは北海道大学の5年次医学生のコア科臨床参加型実習の受け入れを行い、その指導を多職種で行っている。若い人材の受け入れにより院内全体が活性化し、教育を通じて個々の指導医の自己研鑽や、毎月の医局会での指導体制の見直しにも繋がっている。指導医や若手医師、専攻医が多職種を交え、時には初期研修医や医学生と共に、教えながら考え学ぶことは自身の臨床経験をより深めることにもなる。

 月に1度の院内症例検討会での症例提示、北海道精神神経学会例会や日本精神神経学会学術総会での演題発表の他、札幌徳洲会病院とは定期的に合同勉強会を開催しており、精神疾患をもつ患者の身体合併症や救急搬送事例についても検討し知識の共有をはかっている。

フレキシブルな勤務スタイル

 育児中など、個々の事情に対しフレキシブルな勤務スタイルを提案しており、医局員が互いに補い合いながら、休暇も取りやすい環境にある。

指導スタッフ(精神科)と専門領域

会長
田尾 重良(臨床精神医学、臨床神経生理学)
理事長・院長
田尾 大樹(臨床精神医学、老年精神医学、司法精神医学)
副院長
晝間 臣治(臨床精神医学、臨床神経生理学)
統括部長
清水 有子(臨床精神医学、老年精神医学)
部長
控井 博明(臨床精神医学)

・常勤内科医 3名
・公認心理師 4名
・精神科医局 12名
・精神保健指定医 7名
・日本精神神経学会精神科専門医・指導医 5名

資格取得

精神保健指定医

 医療保護入院や措置入院などの精神科医療の中核的業務を行う際の必須の資格である。 当院では研修期間内に精神保健指定医取得に必要な5症例すべてのレポート作成が可能である。

日本精神神経学会認定専門医

 当院は精神科神経学会専門医制度研修認定病院であり、学会専門医の取得が可能である。

日本認知症学会認定専門医

 当院は日本認知症学会専門医制度研修認定病院であり、学会専門医の取得が可能である。

応募方法

 当院で精神科医師として勤務を希望される方の病院見学・面接は随時受け付けていますので、お気軽にお問合せ下さい。

お問合せ:事務長 硯見 泰弘
電話:011-891-3737(代表) 電話:011-891-3737(代表) メールフォーム:homepage2@ohyachi-hp.or.jp